国試攻略 「合格に必須の3条件」とは?

6/8/2020
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これから国試の勉強を始めるみなさん、一番気になるのはやはり「どうすれば合格できるの?」ですよね。国試の合格基準について具体的な数字を使いながらわかりやすく解説、さらに基本的な対策法や心構えをご紹介します。

まずここを押さえる! 合格への3つのルール

大前提として、国試に合格するためには、1~3をすべて満たす必要があります。

1.必修問題で80%以上得点する(絶対評価)
2.必修以外の問題で約70%以上得点する(基準は受験する年によって変動する相対評価)
3.禁忌選択肢の選択数が3問以下である

それぞれをクリアするためにどんな学習法が重要なのか。最近の傾向を踏まえた対策について詳しく見ていきましょう。

 


1.必修問題で80%以上得点する(絶対評価)

国試で出題される全400問のうち、100問は「必修」と呼ばれるパートに属します。必修では、
・一般問題50問 1問1点
・臨床問題50問 1問3点
が出題され、合計200点で採点されます。必修問題は絶対評価で採点されるため、この点数のうち80%以上を得点しなければなりません(不適切問題を除く ※後述)。

必修は簡単だから対策はいらないと言われることもありますが、毎年必修として過去に未出題の問題(つまり初見の問題)が数問は出題されており、多くの受験生を苦しめています。必修問題は絶対評価で採点されるからこそ、受験当日のプレッシャーは凄まじいものです。一通りの診療科の勉強を終えた後は、必修に特化した対策をしておくことがベストだと言えるでしょう。

 


2.必修以外の問題で約70%以上得点する

国試で出題される全400問のうち、300問は「必修問題を除いた一般問題及び臨床実地問題」に属します。

このパートでは、
 ・一般問題100問 1問1点
 ・臨床問題200問 1問1点
が出題され、合計300点で採点されます。

必修問題と異なり、この300点のうち何点取れば合格なのか、その基準は受験する年によって異なり、合格発表時に公表されます。

ここで、2の合格基準を満たすために、どのくらいの難易度の問題を得点できればよいのか、2019年度に行われた第114回国試を例に具体的に見ていきましょう。第114回国試では、217/299点(72.6%)がボーダーとなりました。必修以外の問題の正答率の分布は下のグラフのようになっています。

このグラフは、第114回国試における正答率別問題数の分布です。つまり正答率90%以上の問題が158問、正答率80~90%の問題が44問あったことを表しています。

必修以外の300問のうち、217問(72.6%)に正解しないといけないので、難易度が低い(正答率が高い)問題から順に得点していくと考えると、正答率70%~80%を超える問題は確実に得点する必要があることがわかります。

医師国家試験の過去問には、解説文に「正答率」が記載されていることが多いかと思います。この「正答率」が70~80%を超える問題は、本番でも確実に正解できなければならないというつもりで、過去問の演習に臨むことが肝心です。

ただし、一度過去に出題された問題は、次に出題された時に正答率が10~数十%上がる傾向があるので、過去問、特に直近3年分の過去問はしっかり勉強することが重要になってきます。

 


3.禁忌選択肢の選択数が3問以下である

国試の問題の中には「禁忌選択肢」と呼ばれるものが存在し、この禁忌選択肢を4つ以上選ぶと、他の問題でどれだけ得点できていても不合格になってしまいます。

いくつ禁忌選択肢があるのか、どれが禁忌選択肢なのか、これらは残念ながら公表はされませんが、受験生の解答状況と合否の結果を照らし合わせると、禁忌選択肢として注意すべきなのは次のようなものだと分析できます。

・明らかに病態を悪化させるような対応(気胸に対する陽圧換気、出血に対する血栓溶解療法、など)
・経過観察してはいけない患者を経過観察した
・妊婦、小児、何らかの基礎疾患を持つ患者に、行ってはいけないことをした(妊婦に経口糖尿病薬、腎不全患者に造影剤、など)
・法律違反、倫理違反(適応のない患者に人工妊娠中絶、など)

1つめと2つめに関しては、各疾患を勉強するときに「行ってはいけないこと」「その病気を放置するとどのくらい危険なのか」を合わせて勉強することがポイントです。

3つめに関しては、禁忌選択肢を意識した対策が必要です。妊婦、小児、よくある基礎疾患(腎不全、心不全、肝不全、アレルギーなど)への禁忌事項を押さえておくとよいでしょう。

4つめは医学総論、公衆衛生の領域になりますが、疾患の勉強と同様に「行ってはいけないこと」を押さえておく必要があります。

 


過去の「不適切問題」は勉強するは必要ある?

試験問題に何らかの不備がある場合「不適切問題」として扱われ、様々な対応がなされます。例えば、1つ選ぶ問題なのに2つ選べてしまう問題、難しすぎる問題が必修として出題された場合などが、該当します。

不適切問題であるかどうかは厚生労働省が判断し、合格発表と同時に公表されます。そのため、国試本番中には不適切問題を意識する必要はありませんが、過去問を演習するときには「不適切問題って勉強する必要あるの?」という疑問を抱える医学生が数多くいます。

結論から言えば、不適切問題も勉強する必要があります。一度不適切として扱われた問題も、ブラッシュアップして翌年以降に類題が出題されるケースが多々あるからです。

しかし、不適切問題は問題に何らかの不備があったということに変わりはありません。「正解はどれだったのか?」ということに囚われすぎてしまうと、調べることに躍起になり、膨大な時間を取られてしまいます。適度な距離感を保ちながら「こんなテーマの問題もあるんだ」という心持ちで取り組むことを現役医学生にはおすすめしています。

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